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高森明勅
2017.8.26 23:00

大嘗祭より観光客?

産経新聞(8月25日付)を
読んで呆れた人も多いのではないか。

一面に大きく(全面の3分の1位のスペースで)
「観光痛手 皇居東御苑 長期休園か
大嘗祭に合わせ、31年夏から冬」という記事。

カラーの写真や地図、グラフ入り。

そのポイントはこういう事だ。

ご譲位による新しい天皇のご即位に伴い、
重要な皇位継承儀礼の1つとして大嘗祭が行われるものの、
それが前例通り皇居東御苑で行われると、
同御苑の長期休園を余儀なくされ、観光に痛手だ、と。

おいおい、皇居を何だと心得ている。

皇居は言う迄もなく天皇陛下のお住まい。

国有財産の中でも、
特に「皇室用財産」とされるものの、
中心的な位置にある。

専ら皇室のお役に立つのが第一義。

その一部(東御苑)を一般に公開して
戴いているだけでも有難い事。

なのに、皇室にとっても最も重大かつ神聖な大嘗祭を、
皇居内で(!)
前例通りに(!)行うのが迷惑とは。

天皇陛下の一世に一度の大嘗祭より
観光客の方が大事なのか。

どこまで勘違いして、
付け上がれば気が済むのか。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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